路頭に迷って、美味しくすごそ

アジア料理とビールとハイボールが好きな、22歳女の記録。美味しい小説やエッセーも大好き。

クリムト展 〜第九の衝撃〜

2019/07/07、雨、「クリムト展」閉展まであと3日。

閉展ギリギリになって、ようやく行ってきた。

上野に着いたのが12時ごろ。まず西洋美術館の向かいにある音楽ホールの2階にあるレストランへ入り、昼食をとった。子供の頃、母に連れられて上野に来るたびにこのレストランで昼食をした。私はいつもカツカレーとグレープフルーツジュースを頼んで、「辛ぇ〜かれぇ〜(サブイ)」

と言いながら、カレーを食べた。

今日は久しぶりに母と2人でのお出かけだったので、そのレストランで、私はその個人的に思い入れのあるカツカレーを頼み、母はカツサンドを頼んだ。

 

クリムト展を開催している東京都美術館に着いたのが、13時くらいで、すでに長蛇の列。チケットを買うまで約40分ならび、チケットを買ってから更に30分ほど並んだ(と思う)。

 

クリムトの絵を見たのは初めてだった。装飾の勉強になるから、と通っていた学校の先生に勧められて行ってきたのだが、絵画でありながら、イラスト的で、何よりデザイン的だと思った。

クリムトと東洋美術の関係を扱ったコーナーもあり、寄木細工の模様のようなものも絵柄に取り込まれていて、なんだか嬉しかった。

 

そんな中1番印象に残ったのは、ベートヴェンの「第九」を題材にして、三面を使って描かれた作品。コの字の長い辺の片側には「幸福への憧れ」、狭い辺には「敵対する勢力」、もう一つの長い辺には「歓喜の歌」が描かれている。

この中でも「敵対する勢力」の中に描かれた、怪物デュフェウスの3人の娘(肉欲、不貞、不節制を表す)は印象的だった。

特に中心の娘の官能的な表情には、決して魅了されてはいけない気がするのに引き寄せられて、未だに神経が追い求めている気がする。

それから「歓喜の歌」に描かれている歌う天使たち。彼女たちの接吻を求めるような表情も素敵だけれど、彼女たちが手に抱えた、花がまた、こちらへ花びらをじっとひらいて接吻をせがんでいるようで愛らしく感じた。

帰宅後、この第九について少し調べて、この三面それぞれの名前や、絵に出て来る人物の詳細を知ったのだけど、調べれば、調べるほど、やはり絵の秘めた蠱惑的な深い生活臭が伝わって来る。

絵はやはり、それもこれだけ壮大な絵なら尚更、直に見るべき。

印刷されたものでは、やはり色味が全然違うし、直に見ると、印刷などでは確認できなかった細かな部分が近くに確認できる。

絵は、不思議である。

絵に詳しくはないものの、それだけ、思った今日だった。